"Trick or Treat (トリック オア トリート)"
それでは、夏の芸術祭の続きをあげます。
作品番号 D 155 ゲロンパ大合唱
制作年 2009
大西治・大西雅子
刈った草を口をパカッて開けて中に入れると微生物により堆肥を作るカエル型コンポストです。
製作されたのは芸術だけでは食べていけないとのことで京都で農業を営みながら、
芸術活動をされているご夫婦です。
一貫してコミカルな作品にこだわって作られているのですが、
、
それには理由があるそうで・・・。
実際に自分たちが約20年間田舎に住んで
やっと受け入れてくれたと感じたのは(あくまで感じとしてと断りを入れてですが)
10年以上たってからだったりした経験から
この「大地の芸術祭」も無茶苦茶やなぁ~って正味な話思ったそうです。
田舎の暮らしは「守りと継続」、
美術は「破壊と構築」という
根本から相反する合わさるのは困難で険しく、
特に理解が難しい現代美術に拒否反応をしめすのではないかと考えたのだそうです。
そして導きだしたのは、
その田舎の閉塞感のかきねをなくす、一番の方法
それは誰にでも共通する言語
「笑顔」
であると導きました。
田畑で作業する人たちが笑顔になるもの。
そんなちょっとした笑 顔がいっぱい集まったら田舎に住む人も増えるし、
農業に従事する人も 増えるかもしれないとの理念がうまれ
そういった経緯で製作されたのが“青草堆肥製造マシーン”「ゲロンパ大合唱」なのだそうです。
その考えを知り、私が思い出したのは、
なんでも大阪では、一番偉くてカッコいいのは、
顔やスタイルが良い人や
勉強の出来る頭のいい人とか
喧嘩の強い者ではなく、
「面白い奴が最強で、どんなものにも勝る優れたヒーロー」
だと出所どこだったか忘れましたがこの言葉、脳裏に浮かびました。
大西さんご夫婦は水と土の芸術祭にも作品を出展しているので、
新潟市の方と比べて、越後妻有はどうですか?と 奥様の雅子さんにスタッフの方がインタビュー
しているのを発見しました。
「越後妻有の方がゆったりしていて治安もよくて、安心できるかなぁ。作品をその辺に置いておいても壊されないし。 都市部と里山の違いかねぇ。全体的に作品も、こっち(越後妻有)の方が敷居が低いというか、 とっつきやすいと言うか。見ていて面白くてわくわくするものがたくさんあるわぁ~。 自分は、難解なアートじゃなくて、笑顔になってもらえるのが好きだから、新潟の方では浮いた存在かも。」
越後妻有アートメモBlogより引用
すごいのは大西さんご夫婦は芸術祭開催中、
平日は地元京都で農作業して、
週末になると車で新潟まで来て、
ゲロンパ大行進でさまざまな場所に笑顔を送りました。
そして、最後の笑顔製造計画として
芸術祭終了後は
どこかのお宅でこれからもずっと笑顔を作ってもらいたい
という願いで小ゲロンパ達(12匹)は全国に散らばりました。
色んな場所で色んな人と供に笑顔に包まれて 小ゲロンパが暮らしていけたら
ゲロンパ大行進は大成功とのことです。
作品番号 D 064 -記憶と再生─時の舟-
制作年 2003
井上廣子
日本
作品を取り囲む椅子に座り、瞑想する
地域住民それぞれのいちばん大切な人の名前が裏側に銘記され、埋め込まれているそうです。
作品番号 D-063 -旅人の迷路-
制作年 2003
歳森勲
日本
この作品は迷路風に道が草で作られているのですが、
とにかくもう暑くて暑くて、
そんなぐるぐる回ってなんかられないよと
私は真っ直ぐ作品中央に向かって
歩きました。
なんか宗教で300万円するような壷がありました。
私はこの時、
「だから、なんなんだよ!!」
と現代アートで一番言っちゃいけないことが思わず口からこぼれました。
、
美術の中でも一番私が好きなコンテンポラリーアートなのにこの発言。
野外作品がいっぱいの光に包まれた最高のロケーションにもかかわず、
暑さのせいで素直に作品を鑑賞できないことえのジレンマに
さいなまれたこの時38歳最後の夏、
そうとう心やられてました。
でも、日差しが強ければそれだけ、対象がよく映るのは確かで
だから加賀ライト(夜のヒットスタジオ)や
鈴木その子(美白の女王)が輝いていたんだと
思い知らされた38歳最後の夏でした。
作品番号 D248 -イエローフラワー-
制作年
2012
ジョゼ・デ・ギマランイス
ポルトガル
そして私は、大地の芸術祭の存在を知ってからずーっと、
ずーーーーっと憧れていた
森の中の秘密の図書館「フィヒテ」をめざし進みました。
作品番号 D-002 -砦 61-
制作年
2000
クリスチャン・ラピ
フランス
栗の木を囲むように設置された黒い木像が人っぽい作品です。
作品番号 D 185 -サウンド・パーク-
制作年
2009
岩井亜希子×大場陽子
日本
ロープにつかまってワイヤーをすべるように動くと、
ロープの下にある玉が木琴のような板を叩き音が出る仕掛けの作品です。
作品番号 D 009 -今を楽しめ-
制作年
2000
シモン・ビール
スイス
原題は「carpe diem」。ラテン語で「今日を摘む(収穫する)」という意味で
六角形の建物に6つの冷蔵庫の中には松代の子供たちと作ったという雪だるま。
いずれ溶け落ちる運命をここに封じ込めている作品です。
作品番号 D 010 -観測所-
制作年
2000
牛島達治
日本
上下に伸びた伝音管は、片耳に田んぼの音、もう片耳に空の音を伝える仕組みの作品です。
作品番号 D 011 -平和の庭-
制作年
2000
マダン・ラル
インド
インドのやわらかい大理石で作られた蓮のオブジェに囲まれた池の作品です。
作品番号 D012 -遊歩道整備計画-
制作年
2000
CLIP(くりっぷ)
日本
山中に散在する作品をつなぐための道が作品です。
あぜ道を利用して、
環境に配慮して地表の生態を守る設計になっているそうです。
最初、普通に木で作られたのですが、雨に濡れて滑ったり、腐って壊れたりするので、
木材に似せた素材を使って修復されたのだそうです。
作品番号 D 013 -あたかも時を光合成するように降りてきた〜レッドデーターの植物より-
制作年
2000
小林重予
日本
、「レッドデーター」とは、絶滅の恐れのある動植物のリストのことで、絶滅の恐れのある「タコノアシ(蛸足)」、「スズサイコ(鈴柴胡)」、「ノウルシ(野漆)」がモデルとなっている作品です。
作品番号 D-014 -雪国の杉の下で-
制作年
2000
橋本真之
日本
一昔前の宮崎アニメを思い出させる作品です。
作品番号 D 015 -西洋料理店 山猫軒-
制作年
2000
白井美穂
日本
宮沢賢治の「注文の多い料理店」の世界が体感できる作品です。
8枚の扉がおかれています。
最後のドアは、開けないでかえりましょうね。
作品番号 E016 -スペース・スリター・オーケストラ2012-
制作年
2012
チャールズ・ビラード
カナダ
3台の楽器。 こちらは、誰でも、自由に奏でることが出来る作品です。
作品番号 D 008 -希望という種子(シュジ)-
制作年
2000
-依田久仁夫-
日本
宮沢賢治の詩『祭日』を刻んだ4本の碑がたたずむ坂道を抜けると、
木立に囲まれた4 つの空間で構成された作品です。
『雨ニモマケズ』『屈折率』『月天子』『高原』を刻んだ陶板が埋め込まれています。
作品番号 D-004 -水のプール-
制作年 2000
立木 泉
日本
ここは、棚田の跡地だった場所だそうで
その場所に青い大きな皿じょうの水琴窟(すいきんくつ)の作品です。
わずかに滴り落ちる水滴が、透き通った音を奏でるらしいのですが
水がありませんでした。
作品番号 D-006 -かかしプロジェクト-
制作年
2000
大岩オスカール
(ブラジル/アメリカ)
赤いかかしには全部地元の方がモデルでひとつひとつにプレートが貼ってあって、
その方の名前が記されています。
「ほんとは体力の限界なんだけど、芸術祭があるから今年も(米つくりを)やることにしたよ」と前回2009年のガイドブックの中でインタビューに答えていたこの棚田の持ち主の方も
今年は他の人に稲作をゆだねたのだそうです。
作品番号 D-005 -関係—大地・北斗七星-
制作年
2000
-河口龍夫-
日本
北斗七星の形に穴が空いていて、今はその穴にススキが生えていました。
河口さんは
まつだい雪国農耕文化村センターの教室全体が黒板の作品を作った人でもあります。
作品番号 D 184 リバース・シティー
制作年
2009
-パスカル・マルティン・タイユー-
(カメルーン/ベルギー)
吊るされた色鉛筆の一本一本に、世界各国の国名が書かれた作品。
今年の冬の大雪で作品が壊れたので、春に作り直したんだそうです。
作品番号 Y 026 ステップ イン プラン
制作年
2003
-ジョン・クルメリング-
オランダ
(テキストデザイン浅葉克己)
日本
松代から松之山に入るところに立つ、高さ20メートルの大看板。
日本三大薬湯として歴史の深い松之山温泉の入り口に立っています。
上ってみました。
轟天号が小さくみえます。
階段の上り下りのさい注意したいのは、あちらこちらにくもの巣があるのです。
しかも私が今まで見たことのない巨大なクモでした。
作品番号 Y-028 悠久なる恵みー松之山の野草の花々とブナ林ー
制作年
2003
-木村豊彦+松之山の人々-
先人達が残した厳しくも美しい自然を後世に引き継ぎたいという願いを込めて
松之山の代表的な野草の花々を模したオブジェの作品だそうです。
赤い二つの楕円は、ブナ林で見ることのできる鳥、アカショウビンをあらわしているそうです。
で、
今週はここまでにします。
一泊二日で回った大地の芸術祭ですが、
たくさん作品見ようと走り回ったので
まだまだ半分目ぐらいしかあげられてません。
大阪旅行記はとりあえず後にして
吉田栄作よりも暑かった越後妻有での旅を
先に週一で更新します。
それではみなさん良いハロウィンを
おかしちょーだい!
Happy Halloween!!
返信削除じっくり読ませていただきました!
ゲロンパを初めて見た時、自然と笑顔になりました。
ふわっと顔がほころぶ、あの感じ。
小ゲロンパ達は日本各地の貰われた先でも、きっとみんなを笑顔にしているんでしょうね。
『今を楽しめ』見たかった作品なのに結局、見れずに終わってしまいました・・
こうやって他の方の感想を見ると、その感想を踏まえて、
『もう一度見たい!』と思う作品が出てきますね。
今回の芸術祭で色々なアーティストの方の作品に出会いましたが、大西さん夫婦の作品のコンセプトがただ単純に、「クスッ」と笑ってもらえたら良い、というところに凄い共感がもてました。
返信削除私が現代アートが好きなのが、デンマーク出身のイエッペ・ハインさんの作品などがそうなのですが、
見ると心の内から笑いがこみ上げて来る感情がたまらなく快楽で飲まなくても脳が飛ばせる瞬間に出会えるからです。
私は「芸術」というとアカデミックで高い敷居があるものと勝手に苦手意識をもっていましたが、
20歳の時にコンテンポラリーアートに出会って「こんなに面白いものがあったのですか!!」と、
とたんに虜になってそれから過去の画壇で選ばれたような芸術にも少しずつ興味を持つようになりました。