2012年12月19日水曜日

大地の芸術祭2012⑩ 過去と未来の交わる場所で

マウンテンパーク津南の

頂上からの眺めいつまでも見ていたいのですが、

芸術祭めぐれる時間があと半日しかないので

後ろ髪を引かれる思いで、駐車場の轟天号(あーる)に戻りました。


下山します。

道幅が狭い。


次は津南マウンテンパークの目玉と呼ばれている

ドラゴン現代美術館に向かいました。






駐車場奥の山道をのぼります。


作品までは2~3分なのですが、

これがけっこう険しい山道なので

雨ふったり、あたり暗くなったりしたら

ちょっと危険な感じです。

開けたところにでると

なぞの白い何かが、ゆらゆら風にゆれていました。




井上涼さんの紙芝居、「ラブザゴースト」に出てくるオバケみたいです。


中国福建省徳化から登り窯(のぼりがま)を移築

作品番号M001 ドラゴン現代美術館

制作年2000

蔡國強( Cai Guo-Qiang )
ツァイ・グオチャン(中国/アメリカ)


このとき、素直に思った感想は

「どこが美術館だよ!」なのですが




実は最初は内部に作品が展示されて、それで美術館と名づけられたとのこと。


蔡國強さんは火薬を使ったアート作品やドローイング作品等のアート作品で有名な人で

2012年に第24回を迎えた高松宮殿下記念世界文化賞の絵画部門を受賞されました。


今回のドラゴン現代美術館はアメリカの作家、アン・ハミルトンさんとのコラボというのでしょうか、

この登り窯に楽器を設置して、何本ものホースをつなぎ、

囲んだ人皆で楽器に息を吹き込んで演奏する作品です。

実はあの白いお化けはパラシュートで

これが演奏の音に合わせて上下するそうで


 不思議な演奏の最後は、


鳥の形をして鈴の付いた飛行機を飛ばすそうです。






次に訪れるのは

同じアン・ハミルトンさんの作品です。




作品番号M037 金属職人の家

制作年 2012

Ann Hamilton
アン・ハミルトン(米国)

1956年アメリカ合衆国のオハイオに生まれで

1999年には、現代美術の国際展であるベネチア・ビエンナーレのアメリカ代表に選ばれました。




昔、板金屋さんが暮らしていた空き家に作品があります

朝来たときには早すぎたので閉まっていた扉があいてます。

ひもを引っ張ると、



壁に設置されたオルガンが連動して

音が響くインスタレーションです。


1階の小部屋では、ペダルを踏み込むと様々な音が出る装置があります。


階段わきにはられたサイン入りのまったく分からないグループサウンズが気になります。

二階はベルを空に飛ばすための不思議な道具をつくっている
職人を想定した仕事場だそうです。

これをドラゴン現代美術館で鈴つけて飛ばしたのですね。


家屋全体が「音」を奏でる「職人」の工房という設定です。


たぶんその職人さんの人物像は

白い口ひげを生やしたいつもニコニコ笑顔がたえない

おじいさんなんだろうなと創造します。


ただ

ちょっと怖いと思ったのは

二階の階段に柵とかないから

作品に見とれて

写真撮ろうと後ろに下がったら

ここから足踏み外したりしないかなと。

怪我などおきると今後の芸術祭に支障をきたすでしょうから

おきてからでは遅いですので


次の芸術祭までには何らかの策を取ってほしいです。




べ・・別に柵と策かけたわけじゃないんだからねっ!



次は中深見という集落にある作品めざして進みました。

よーく見ると牛が見えるの分かりますか?


本間さんの今年の新作です。


作品番号M041 見えない村を目印にして

制作年2012

本間 純

本間さんは大地の芸術祭では他にMelting Wallとエンピツのの作品があります。


目の前に広がる越後妻有の日常の風景。目を凝らすと、

農夫や犬、家など、風景に溶け込んだ紛れた彫刻が見えてくる作品だそうです。

ここも凄いすんだ湧き水が流れていていました。


見えない村がそこにあります。



次に向かったのは

眺めのいい場所に立つ開放的な一軒家

作品番号M042 出逢い DEAI

制作年2012

Bubb & Gravityfree with KEEN
ばぶあんどぐらびてぃふりーうぃずきーん(日本)

太田新田にある今年の新作です。




ベースボールキャップをかぶったお兄さんがいろいろ説明してくださいました。



アメリカのフットウェア・ブランド「KEEN」越後妻有の『まつだい棚田バンク』という棚田保全の活動に2010年3月から里親になったことがきっかけで

このDEAIプロジェクトが生まれたそうで、



この場所には10年前までおばあちゃんが一人で暮らしていて

残されていた冬の間おばあちゃんが作っていた草履みてこの


プロジェクトのコンセプトが生まれたそうです。



テーマは過去・現在・未来。


人とモノの、人と人の、過去と現代の、

失われつつあるものと未来に受け継がれていくもの

ここではそれをなくさずに

調和共存する。



過去

やっぱりおばあちゃんが長年暮らしていたという愛着のある家を、

全部壊して『アートです』というのは抵抗があったから

現在

だからリユースの精神で、おばあちゃんが遺したものはそのまま使いたい。

未来

どうせつくるなら芸術祭が終わった後も人が集いたくなるような、
居心地のいい家にしたいと考えられたそうです。


洗面台がリフォームされていて外国製の蛇口でお洒落です。

二階は絵本を読んでくつろげるスペースがあります。


どうぞゆっくりしてくださいねと


お姉さんが来客一人ひとりに冷たい麦茶をわたします。



この四角い木はこの家から発掘されたもので

なんだと思いますか?



まくらなんですって。

これは薪を背負うのに背中を防御するためのベスト

昔の防寒具、保温力はどれぐらいなのでしょう。




KEENのサンダル(現代)とぞうり(過去)が玄関に


来年はあの白い場所に絵が描かれるそうです。


二階の窓辺に無色透明なブルーウォーター(ナディア)が吊り下げられていました。


きっと、夕暮れどきには

光のプリズムが乱射して

この過去と現在結ぶこの場所をゆらゆら照らすのでしょう。



ありし日のDEAI

家のすぐ横に池を作り

妻有自慢の清流を引き


雪解け水なのでとっても冷たく

天然の冷蔵庫として重宝してるとお兄さん。



この絵はここでもらえるパンフレットに描かれているものなのですが、

なかよく池に足を入れて涼みながら楽しそうにおしゃべりしているお二人は

説明してくれたお兄さんと麦茶をくれたお姉さんなのかなと、

ここは作家さんみずから生活しているとのことなので

次の芸術祭の時きたら赤ちゃんいたりして。




あの写真上に並ぶ巨大なマリモみたいなのは

手前がひとしお大きいのは遠近法だけじゃなくて

この池を作るのに地面を掘り食った土をあの場所に多くかけたら

栄養があったみたいで元気にすくすく育っちゃたのだそうです。

栄養のある大地に大量の綺麗な湧き水

これはもうお米美味くならざるをえないですよね。

”出逢い DEAI”は次回のトリエンナーレ


2015年で完成となるそうです。





過去と未来が素敵に調和した空間が


さらにどんな風にプラスされるのか気になります。



 





2 件のコメント:

  1. あぁ、気になってた作品がたくさん。

    『見えない村を目印にして』
    とても不思議な作品ですね。
    写真を見るとトリックアートみたいだけど、
    実際は風景の中にちゃんと作品が存在しているんですよね。
    正面から見るのと、斜めの角度から見るのとでは
    また見え方が違ってくるのかな?


    そして
    『出逢い DEAI』
    私、この作品は完全にノーチェックだったんです。
    こちらを見て
    『こういうコンセプトの作品だったんだ。』って。
    そして、今更ながら見たかった!と。
    おばあちゃんの残したものを
    壊すんじゃなく、活かす。
    芸術祭の期間中はもちろん、
    芸術祭が終わった後も、ここに人が集う・・
    こういうのって理想です。
    こういうのっていいですよね。
    次回の芸術祭の時には是非、訪れたいです。

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  2. 今回の芸術祭で「見えない村を目印にして」や
    「Melting Wall」のアーティスト本間純さんの存在をしれて
    とてもよかったです。

    その場所に行ってその状況の中で作品をつくるというのは、
    いろんな人との協働する面白さがあるとインタビューで本間さん答えていて、

    写真ではなく、

    実際に本間さんの作品をその目にすると

    周りの空間世界空気ふくめて完成されている
    その意味が伝わってくるのが

    私はそういう瞬間体験できて、大地の芸術祭
    暑かったけど、巡りめぐってへとへとになりましたが、
    38年間生きてきて一番忘れられない夏になったと胸を張って答えます。




    それで
    「出逢い DEAI」
    私もそんなノーチェックでしたのですが、

    他の場所でも、麦茶提供しているところは多くあるのですが、

    セルフで紙コップで「ご自由にどうぞ」なのに対し、
    ここは、お姉さんがお盆にのせて一人ひとりに
    湯のみで冷たい麦茶を差し出してくれるところに粋というか
    なんかじつはそこが色々な意味で大事なんじゃないかと

    そう感じさせてくれた場所でした。

    そして

    時間をかさねて古きよきものを大事に継承しながら
    取り入れて変化したガジェットをかさね合わせた空間が面白かったです。





                        “出逢い”




    大事にしないとなあとこの年になってようやっと考えるようになりました。








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