2013年1月9日水曜日

大地の芸術祭2012⑫ 上鰕池名画館

本当に遅ればせながらなんですが、今年最初の更新なのでちゃんと挨拶します。


明けましておめでとうございます。


本年もよろしくお願いします。




新年一発目は新春にもっともふさわしい




☆去年の夏の芸術祭の続きです☆




かたくりの宿の次に向かったのは

廃校じゃなく廃工場です。




元々は着物工場だったそうで、 

十日町における3大着物メーカーの一つ「関芳」が、

染色をしたり機織りをするための場所として昭和40年頃に建てたのだそうです。



かつて妻有地方は、絹織物関係の産業がとても盛んだったそうです。

  しかし、バブル経済崩壊後、高価な呉服が売れなくなり、


繊維産業が縮小したそうです。




入り口入って最初の部屋にはずらーっと
地元の子供たちの悩みが書いてある紙と瓶が吊るされています。




なんでも今年から始まった「ふうりんプロジェクト」なるもので、




訪れた人は子供たちの素朴な質問やお悩みへの回答を書いて、

瓶に詰めていくと言う体感型Yahoo!知恵袋コミニュティーです。




作品番号M039 津南のためのインスタレーション 地中でそっと暮らしているもの

制作年2012

瀧澤潔



かつての機織工場の床下の空間までアートにしてます。




床下の空間には、忘れ去られたおもちゃや使用しなくなった 
日用品などが並び、さまざまな色の光を放っています。


瀧澤さんは小道具製作マンでもあるので

小物の使い方が際立っていると思います。




作品番号M039 津南のためのインスタレーション—つながり—


制作年 2009

瀧澤潔



嬉しいことに前回の2009年の時は撮影禁止だったのが

今年はOKになってました。





無数のTシャツのランプシェードに灯りがともり、幻想的な雰囲気です。

住民の方から集めたTシャツを蝋(ロウ)で固めて


中に電球を入れてつくった無数のランプシェードで


冬の中に息づく生命を表現したものだそうです。



二階にもふうりんプロジェクトならんでました。


2階は、暗い一階とは逆に自然光でとても明るい空間となってます。


夏の光が降り注ぐ明るい空間です。


「半年もの間雪に覆われる越後妻有では、太陽の日差しを受けることは、胸躍る待望の瞬間。」


瀧澤さんはそれをあらわすため

この陰と陽をテーマとしたインスタレーション作ったのだそうです。

白いフワフワは、釣り糸(テグス)で作られたものだそうです。


Tシャツと糸で作られた作品、


繊維工場の跡地に相応しいと思います。





作品番号M038 建具ノモリ

制作年2012

山本想太郎


正直に書きます。



ここは、次の作品に向かう途中に現れたので撮りました。




「建具ノモリ」のなかには、週末を中心にお店がでるそうで

「大地の市」と名づけられた屋外市場こそがこのアートの完成形なのだそうです。



この日は平日だからなんでしょうが


なんにもだれも人が入ってませんでした。


でも私の勝手な推測でイマジンするところですが、


ここでお店開いた人たち


直射日光受けまくりで


暑くて大変だっただろうなと


本当にこの作品の作家さん一級建築士なんですか?と


疑わざるえない物件かと。






それで次に見たいと思ったのが、

事前情報で名画をパロディにした美術館がとても面白いと知りまして

是非とも行かなくちゃ 君に逢いに行かなくちゃ(井上陽水)と思った場所なのですが、


山沿い走ってると突然、隣の山にショートカットのごとく


橋がまっすぐのびていて


その先のトンネルをぬけたところにある作品。




作品番号 Y089 上鰕池名画館(かみえびいけめいがかん)


制作年 2012


大成哲雄/竹内美紀子

作家さんみずからモナリザと叫びのポーズとってます。




上鰕池名画館は、かつての共同農作業所でもあり、
冬期には小学校の分校としても使われた場所だそうです。




上鰕池は全17戸、総勢55名からなる小さな集落で、
豪雪の時期は孤立してしまう事もあったそうです。


撮影地点などが描きこまれた地図

セザンヌの愛したサント・ヴィクトワール山がなぜかそびえたってます。


ヨハネス・フェルメール 《 牛乳を注ぐ女 》. 1658-59年頃



「赤鍋」

田休祭(たやすみまつり)の準備。

集落では年に数回、集会所に集まり宴会が開かれる。

地元のお酒は代々伝わる「赤鍋」に注がれ、女性たちがついで回る。

食べ物は取れ立ての野菜を中心に各家庭から持ち寄られる。




二階ギャラリー

大成哲雄さんと竹内美紀子さんと

上鰕池の17世帯の村人や風景、風物を使って名画を再現した写真展です。



アルチンボルド-四季≪夏≫(1573)


「野菜人」

集落の食事はお米、野菜、山菜が中心である。

集落の人の体は山の恵みで作られている。



エドゥアール・マネ 『草上の昼食』(1862-63年)


「草刈り」

田植えが終わると畦道に生い茂った草を刈ることも重要な仕事の一つである。

仕事の合間に御座を敷いて休憩する光景は、車で自宅と田畑を
行き来するようになった現在でもしばしばみられる。


ダ・ヴィンチ/モナ・リザ1503-1506年制作


「帰り道」

夕子さんは集落で生まれ育ったが、高校を卒業すると
イルカの調教師を夢見て東京へ出た。

背景は子どもの頃、自然と遊びながら学校に通った思い出の道である。



フィンセント・ファン・ゴッホ『糸杉と星の見える道』1890年作


「一本杉」

お宮にある樹齢400年を超す一本杉は、集落の象徴的な存在であり、
長年集落を見守ってきた。



クロード・モネ「散歩、日傘をさす女性」1875年


「やまさわぎ」

この地域では、山に山菜を採りにいくことを「やまさわぎ」と言う。
休日の午後。「やまさわぎ」について来た子ども達は、花や植物を
手に取り、なんでも遊びに変えてしまう。





レオナルド・ダ・ヴィンチ『最後の晩餐』1495年 - 1498年製作


「田休祭-たやすまつり-」

6月、田植えが終わるとお宮でその年の収穫祈願を行い、集会所で宴会が開かれる。

長机に座る位置は区長を中心に班毎に男性、女性、子どもの順に決められている。



ジャン・フランソワ・ミレー 「落穂拾い」 1857年


「山菜狩り」

春になると、山菜が一斉に生えてくる。

早朝、集落の人たちによって摘み取られる山菜は、周辺からも質が高いといわれている。

エドヴァルド・ムンクの「スクリーム」(1895年版)


「宝橋」

冬期「孤立集落」になっていた上鰕池に、平成6年、待望の「宝橋」が架けられた。
以前は、時間をかけて狭い旧道を行き来するしかなかったが、

この橋が出来た事で通勤、通学の安全が確保され、
生活の様々な場面に変化がもたらされた。




ポールセザンヌ/小箪笥のある静物/1887ー88年


「箪笥 たんす

集落の各家庭には代々受け継がれた木製の箪笥がある。
写真はどの家々でもみられる日常的な光景である。


エドゥアール・マネ作 「笛を吹く少年」1866/パリ・オルセー美術館

「こんクラ」

中学1年の未歩ちゃんは小学生の時、マーチングバンドでアルトホルンを吹いていた。
撮影場所は集落の家々を繋ぐ自宅前の坂道で行われた。

「こんにちはクラリネット(未歩ちゃんは「こんクラ」と略して呼ぶ)」
は管楽器の練習曲集で、今回、久しぶりに演奏を披露した。


マンテーニャ 《死せるキリストへの哀悼》 1490年代


「プチトマト」

良康さんは、子どもたちを自然の中で育てたいと思い、
東京から生まれ育った集落にUターンしてきた。

昼寝をしているパパのとなりで「みやちゃん」は、大好物のプチトマトをおやつに食べる。


二階ギャラリー入り口には各作品の元となった
名画の写真をまとめて印刷した小型のボードがあり、

観光客はそれを持って比較しながら楽しむことができるようにもなっているので、
知らない絵があっても大丈夫です。


名言がはってました。

「舌が動けば手が休む」

ここが昔、

集落のかつての共同農作業所だったことが伺えます。

あの天井の歯車的なものが農作業のなにかの装置と見受けられます。



一階ミュージアムショップには

各名画のポストカードなどとともに、集落でとれた新鮮野菜が並んでました。

やっぱり「ムンク」一番人気なようです。










去年9月

NHK新潟で放送された

「ひとときのにぎわいの中で~大地の芸術祭 ある集落の物語~」

上鰕池集落の方々の芸術祭の夏が紹介されたそうです。

番組の内容はこの夏で5回目の開催となった「大地の芸術祭」で

集客数は過去最高を記録して

十日町市の山あいにある17世帯の静かな集落にも
1日千人を超える人が訪れたということを取り上げたそうです。


その番組内にムンクのお父さん(区長)が登場されて

実はあの写真で叫んでいる言葉は


りがとぉー」

なのだそうです。





2 件のコメント:

  1. あけまして おめでとうございます!
    今年もブログ、楽しく拝見させていただきます!

    津南のためのインスタレーション
    とても素敵な空間でした。
    ふうりんプロジェクトで、いくつかの質問と回答を
    読んだのですが、
    どれも真剣で、丁寧な回答が書かれていて
    読みながらジーンとしてしまいました。
    実は回答を読む前、
    いくつかは心無い・冷やかしの回答もあるだろう、と
    思っていたのです。
    でも、私、かなりの数の質問・回答を読んだのですが、
    そういった回答は1つもありませんでした。
    上記のことを思ってしまった自分が恥ずかしかったです・・
    みんなが真剣に書いた回答を読ませてもらって、
    嫌なニュースばかりが目に付くけれど、
    まだまだ捨てたもんじゃないな、って。
    そんなことを感じました。

    Tシャツのランプシェード、
    とっても優しい・温かみのある光ですよね。
    あれは蝋で形を整えていたのですね。
    きれいな形だなぁ、どうやってあの形にしているのだろう、
    って不思議だったんです。
    暗闇に浮かぶランプシェード、
    とっても幻想的な空間でした。

    テグスもあれだけ集まると、
    ふわっふわに見えるから不思議です。
    映画に出てくる大きな動物って
    間近で見るとあんな感じかな?


    上鰕池名画館
    とっても好きな作品達です。
    各作品、どれも集落の方々が
    楽しそうに、自然に写っていて
    この集落の日常を見させてもらった感じがしました。

    「ひとときのにぎわいの中で~大地の芸術祭 ある集落の物語~」の中で
    集落長さんがムンクで
    『ありがとぉ~』って叫んでるんだよ、って
    おっしゃっているのを聞いて
    ビックリすると同時に、
    改めて、もう一度、この写真に会いたいと思いました。

    なんだか嬉しいですよね。







     

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  2. あらためまして、あけましておめでとうございます。
    本年もよろしければどうぞお願いします。

    急ぎ足で作品巡りしましたので、
    ふうりんプロジェクト、子どもたちの質問、
    それに対する大人たちの回答をゆっくり見れなかったので
    次回訪れるときは、悩みのるつぼにどう相談者が答えたのか
    一つひとつの小瓶を時間を気にせず全部あけたいです。

    Tシャツのランプシェードの柄がなにか昔懐かしいので、
    綺麗で幻想的の中にノスタルジーを覚えました。


    映画に出てくる大きな動物。

    ほんとですね、言われてみればあの白い、ふあっふわは
    ネバーエンディングストーリーのファルコンの背中みたいです。


    そして強く懇願するところですが、「金よう夜きらっと新潟」の
    上鰕池名画館特集は全国放送してほしいです。

    地元の方々による西洋美術史の名画へのオマージュ
    どれもトンチがきいていて、ユーモアがあって

    ちゃんと上鰕池の集落の世界も表現している


    よく考えられているなと感心するばかりです。




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