2013年2月5日火曜日

大阪旅行⑧ 中之島図書館

大阪二日目朝、まず最初に向かったのは

洋館好きなら知らない人はいない場所です。



私もきっと

いつの日か行ってみたいなと

ずーっと思っていました。

なので

初めて経験する大阪の朝の通勤ラッシュも

なんのその乗り越えられます。

最寄り駅

地下鉄御堂筋線淀屋橋駅で下車します。







左の建物は大阪市役所です。

橋下市長(当時は府知事)ここにいるのでしょうか?

木で隠れてよく見えませんが、

あれこそが、めざした目的地。

ネオ・バロック様式の中之島図書館です。

4本のコリント式円柱がギリシャ神殿を思わせる建物です。




大阪を拠点に商売をしていた住友家の寄付で、明治37(1904)年に作られました。商業的に繁栄し、学問も盛んだけど、図書館だけがないというので財を投じて作られた図書館です。


照明柱や装飾柱も豪華です。

1904年(明治37年)にネオ・バロック様式で建てられた建物は、1922年(大正11年)に左右の両翼を建て増しし、現在の形になったそうです。

正面玄関には「大阪府立図書館」ではなく「大阪図書館」の文字が刻まれています。

これは中之島図書館が開館した当時、大阪に図書館らしい図書館が皆無だったことを意味するからだそうです。

、住友家第15代当主であった住友吉左衛門友純氏が欧米を旅した際に現地の企業家が文化貢献や慈善事業を積極的に行っている様子に影響を受け

独力で図書館の建物から図書購入基金まですべてを寄贈したそうです。

大決断をした当時の住友氏をはじめ、設計者の野口孫一も初代館長もみな30代なのですって。

明治37年(1904年)創立時の建物を改修しながら使い続けている

作り物ではない、本物のレトロなのです。



地上3階建ての造り

1階は受付と休憩室等で、
2階はビジネス資料と新聞コーナー。
3階はデジタル情報室と自習室、文芸ホール、大阪資料・古典書籍室です。




100年を経てなお現役の図書館ゆえ、セキュリティの面から入館時に荷物を預けたり入館証を受け取ったりする必要がありますが

1階から螺旋階段を上っていくと、現れました



憧れていた中央ホールの大階段です。




大阪府立中之島図書館は100年以上の歴史を持ちながら、





現役の図書館として機能している所が素晴らしいです。

ステンドグラスを通してドーム屋根から光が降り注ぎます

中央ホールの左右の壁面に彫刻が2つ立っています。

引き締まった表情で前方を注視しているのが「野神像」で、「野性」を表し、

「文神像」は広げた書物に眼差しをむけており、「知性」を表現しているそうです。

「長崎平和祈念男性裸像」で知られる北村西望氏です。




東大阪市にある中央図書館で一般書から学術書まで幅広い分野の本を収める一方で、
中之島図書館では



古文書や大阪関連の文献、ビジネス関係図書を集めるというように、
役割分担をしているみたいです。



それで、

去年の6月

驚くニュースがありました。

大阪市の橋下徹市長と大阪府の松井一郎知事は

中之島図書館を廃止し、別の施設として活用する方針を表明したのです。



「一等地に図書館を置くことはない」という理由で、蔵書を他の場所に移すことを決定しました。府市の有識者会議は、ミュージアムやカフェなどを入れることを提言しています。



橋下市長も「あんなところに図書館を置く必要はない」と述べ、
集客施設などに活用する意向をしめしました。







 ツイッターで各人の反応を見ていくと

「どれだけ貴重な資料がこの図書館を信頼して寄贈されてきたか」(Twitterより引用)


「中之島図書館が図書館であることをやめて商業施設になるということは、「金のない奴は利用するな」って場所になるということ」(Twitterより引用)



「多くの方々の善意で集まった蔵書や建物を持つ中之島図書館を時の市長が経済原理だけで閉鎖して、コレクションの処分をするなんて許されるのだろうか?」(Twitterより引用)




など

ツイッター上では

「文化レベルが下がる」とか「市民の憩いの場を潰すのはけしからん」という意見が多く見られ、
世間の多くの人は図書館廃止に反対な意見のほうが多いのですが、




必ずしも図書館廃止は悪いことではない、という意見も出されています。

中之島図書館廃止を肯定する意見として


・中之島図書館は専門的な蔵書が主であるため多くの一般人にとって利便性が悪く、中央図書館からの取り寄せ専用の窓口となっていて、有効に活用されているとは言いがたい

・大阪府市統合を前提とするならば、府市の総合図書館と統合することで別の施設として利用することは妥当

など。


反対する意見として


・人から(住友家)図書館として寄贈してもらったもので、重要文化財に指定されているものを勝手に別の施設に転用するのはどうなの

・蔵書が中央図書館の閉架に収められることになると不便でしょうがない

・大阪府の中央図書館は交通の便が悪くて利用しづらい

・研究者やビジネスマンにとってはとても有用な施設で、貴重な蔵書とその価値をよく判っている司書と一緒に運用されるべき

などです。

予断ですが、

私が初めて上野の国際こども図書館(かつての国会図書館)を訪れた時、

重要文化財である洋風建築を図書館として利用しているなんて
日本にしては珍しく贅沢なことだなぁと思いました。

そして、洋館好きな私は

建物のバックステージツアーに参加しました。

旧帝国図書館の豪奢な作りにうっとりさせられました。



国際こども図書館はカフェもあるのですが、

中之島図書館にはなく、

建物見学ツアー的なのもがないのは

これからもこの場所で、図書館として存続させていくのには

マイナスなんじゃないかと

必要な努力なのだとちょっと私は思うところでんす。





ことの発端は

もう大阪府に有用性の低い施設を遊ばせておく余裕がないことからでた問題で、


そもそも提案書では「ミュージアム機能やカフェなどを持たせたらどうか」程度の提案なのだそうです。





事実、中之島図書館は老朽化のため使われていない部屋が多いとのことなので、

そういうところを改修して

少しでも収益が得られるようにしてでも



今の図書館として

この建物が残ることがいいような気が私はします。


3月11日から耐震工事を始めるそうです。


国の重要文化財に指定されている建物なので、

壊されるという心配はまあまずはないとは思いますのですが、

「別の施設に改装するには今の大阪府の美的センスでは信じられない」(Twitterより引用)

との意見もありその点が懸念しする所存ですう。


図書館法の第十七条 に 

「公立図書館は、入館料その他図書館資料の利用に対するいかなる対価をも徴収してはならない。」

とあるのですが、


なんでも最近は

図書館の有料化の話もあるのだそうです。



図書館には世界の知識とともに、

我が国の文化、歴史が蓄積され

それを「誰もが」「自由に」「無料で」使えるのが


公立図書館である。



これからも変わらず

ずっとそうであり続けてほしいです。





2 件のコメント:

  1. とても素敵な外観・内装ですね。
    こんな雰囲気のある場所で、文化財の中での読書・・
    大人な時間が過ごせそうです。
    この中にカフェとかあったら
    時間を忘れてしまいそうですね。

    運営?のことでいろいろとあるみたいですが
    この建物にとって、関わっている人にとって、
    大切に思っている人にとって、
    良い方向で着地点を見出してくれたら良いですね。


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  2. 実は昔は中之島図書館内に食堂があって、その部屋とかが、現在では一般が入れなくなっていたりしていて、無駄にしている空間があったりして、シニカル橋下さんが、確実に収益が得られるようになるだろう美術館にする案も出すのは至極当然だろうなとは思いました。

    たしかに、あの場所が美術館になると日本中から、かなりの人が訪れるようになるでしょう。

    天然の三菱一号館美術館として、大阪観光コース目玉の一つになるのは間違いありません。

    旧食堂後の場所をミュージアムカフェにリニューアルオープン!などしたら、連日老若男女でごった返すことでしょう。

    しかし、大切な何か?は、確実に失われて再び戻ることはない
    なくなってしまった思い出の過去の場所になりさがってしまう懸念は否めません。



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